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「忙しい」というのは言い訳

学生の頃は、大学に行けば、自然と彼に会えました。

けれども、お互いに就職し、会社に勤めるようになると、忙しい時間を工面しなければ会うことができません。

たまの休みを彼のために早起きし、一生懸命おしゃれしてデートに出かけていっても、彼はいつもいつも遅刻です。

最初のうちは、「忙しいんだから」とか「くたびれてるんだわ」と思い、許していたのですが、彼女だって神様ではありません。

だんだん、不満がたまってきます。

二人にとって、最後のデートになった日、朝から雨が降っていました。

彼女は時間通りに約束の場所へ行き、いつものように彼を待ちました。

そして、冷たい雨が降るなかで四十分近く待たされている間に、別れの決心をしたのだそうです。

「もし、あの時、彼が時間通りに来ていたら、どうだったんだろう、案外、ズルズルとまだ一緒にいるかもしれないなんて思う時もあるんです。

あの日、『どうしよう。もう終わりにしようかな。でも、まだ好きだって気持ちも残っているし』なんて心が揺れている時、彼が遅刻したでしょう。何だか踏ん切りがついちゃって、もうこれまでにしよう、もういやだって、思っちゃったの」

この話を聞いた時、以前だったら、「そんなことくらいで」と、思ったかもしれません。

「もう一度くらい、チャンスをあげてよ」と、頼んだような気もします。

けれども、「好きな女を一分たりとも待たせたくない」と言いきったあの男性に会ったせいでしょう。

その時の私は、思わず「わかる」と、眩いてしまったのでした。

結婚相談所で知り合った交際相手に、しなくてもいい別れの決心をさせたくなかったら、好きな人を待たせてはいけません。

あなたが「つい遅くなって」いるうちに、あなたの彼が、そして彼女が、駅の改札口や地下街の柱の陰で「やっぱり駄目。

あの人とは別れよう」と、一人うなずいてしまうかもしれないのです。

たとえ、あなたの結婚相手が「我慢強く待つのも恋のうち」と考えてくれるような殊勝な人だとしても、それにあぐらをかいていては駄目です。

我慢強い人に限って、その限界を越えたとき、有無を言わせぬ行動に出ることが多いものですから。

なにごとも、初心忘るべからず。

遅刻してもいないのに、約束の場所へ走っていった日があったことをいつまでも忘れないでいたいものです。

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